本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

34.『たえまない光の足し算』

ハグは、猫のための餌と水をすこしのためらいもなく床に落として、少し獣臭のする左手と、濡れた右手で、薗のことを抱きしめ返した。ハグの両手は「ゆうき」の両手だった。 薗は、骨ばかりの、異物だらけの躰のままで、わたしはハグのことが好きだと、啓示に…

33.『情事の終り』

海外文学に感じるハードルの高さは、宗教や哲学などなにかと抽象的で重い話や、政治社会問題など具体的で難しい話になりがちなところにあるんじゃないかと思う。 グレアム・グリーンの『情事の終り』は、男女感のごたごたという他人事としてゴシップ的に軽く…

読書日記6.『読者が持つべき読まれる覚悟ってなんだろう』

桜庭一樹『読まれる覚悟』を読んだ。 小説家になって作品が読まれるようになると、批評家やファンの反応が返ってくるようになる。この本では、それに対してどんな心構えでいた方がいいかどんな距離感でいるべきなのか、一線の引き方等が、小説家目線で書かれ…

Log3 人生を変えるのは本の力か

6月12日(木) 『平安文学でわかる恋の法則』を読み始める。 平安時代一夫多妻制が成り立っていたのは、育児に夫のが参加する必要がなく、乳母とか侍従とかが生活をサポートしていたからなのでは。そう考えると夫というのはただの子種と金の持ち主ということに…

32.『女ふたり、暮らしています。』ふたり暮らしの余白

アンが直線道路を疾走し、最短距離で目的地に到着していたら、映画は始まった途端に終わってしまっただろう。そうやって遠回りをして、止まって、休みながら行く鈍行の旅程の中に、自分の意図や計画から外れた「事件」を引き寄せてくれる誰かがいたからこそ…

Log2 無欲で善良なおじいさんの台無し

6月5日(木) 『生き延びるためのラカン』読み終わった。 付箋を貼ったところを読み返してみて改めて印象深かったのが、おとぎ話のハッピーエンドについての話。 欲のない善良な人が結局最後には富を得るという昔話がハッピーエンドになのは、その善良な人も読…

Log1 嫌な気持ちの爽快感

5月31日(土) 『輝石の空』を読み終えたいけどなかなか進まないので、合間に『世界でいちばん弱い妖怪』を挟む。 『世界でいちばん弱い妖怪』は18編が収められたショートショート集。新宿紀伊國屋で最初の一編「黄金人間」を立ち読みしたんだけど、幸福な王子…

31.『夜市』

アートディレクターの森本千絵さんが「欲張りってチャーミングっていうか生きる力になる」というようなことを言っていて、私はそれを聞いて励まされたというか明るい気持ちになり「やりたいことなんでもやってみよう!」と前向きになったのだが、それから1…