本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記9.「千年経っても娘は母の作品」

源氏物語の「松風」という帖は、都から遠く離れた明石に住んでいた姫君、明石の君が都に引っ越し、三年ぶりに光源氏と再会する帖だ。 明石の君の母、尼君も一緒に引っ越してきたので、久しぶりに会う尼君に対して光源氏は開口一番に「姫君をこんなに美しくお…

38.『源氏物語 巻三』

須磨 天皇に仕える尚侍であり、政敵右大臣の娘である朧月夜との関係がばれた光源氏。 このままでは大きなお咎めを受ける可能性があるので、その前に自ら須磨に引っ込むことにする。 「須磨に行くことになりました」ということを今まで関係のあった女たちや、…

読書日記8.「狭霧の中のボロ雑巾」

望みを捨てられぬまま、狭霧ばかりが立ちこめる道を自分で編んだ靴で歩むしかないという状況など、ほとんど携問のようなものである。その携問に耐え抜いてでもお笑いが好きなら「芸人」を続けろなんて、私以外の人間は言ってはいけない。このつらさは私にし…

37.『ありか』

「でも、私、ひどいことをされたわけでもないし、こうやって育ててもらってきたんだよ」 母は言葉はきついし、私が意見を言ったり、反論したりすることを許さなかった。感情的で他人に厳しい人ではある。だけど、暴力を振るわれたこともなければ、育てること…

36.『晴れ姿の言葉たち』

拝啓 渡辺祐真さま 突然のお手数失礼いたします。 スケザネさまと宮田愛萌さまの往復書簡『晴れ姿の言葉たち』を読ませて頂きました。読んだらとても手紙が書きたくなったのでこうして、書かせて頂いています。 スケザネさまはこの手紙を読むことはないかも…

読書日記7.『丁寧な暮らしは複雑』

最近海外生活や異文化交流を書いたエッセイを2冊読んだ。奈倉有里『文化の脱走兵』と光浦靖子『ようやくカナダへ行きまして』だ。 それで、エッセイっていうのは2パターンあるのではないかと気づいた。 1つはそれまでの日常から飛び出して新たな場所での…

35.『水辺のフリスビー』

なぞるように、私はこれからも生きていく。それがどれくらいの時間か分からない。これが、もっと前の自分だったら、よかった。叶えたい夢とか、一緒にいたい人とか思い浮かべることができた。そこに向かって努力しようと思えた。辛いことや手に入らないもの…