本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

異国の本屋さんでほっくほく。

 

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パク・ミンギュ『亡き王女のためのパヴァーヌ

 

先週末、韓国ソウルに行ってきました。

今まで韓国と言われてもいまいち興味が湧きませんでしたが、韓国文学をいくつか読んでそのひとつひとつにそれぞれ心の違った部分をくすぐられたり刺されたり撫でられたりしているうちに、この小説たちが生まれた場所に行ってみたい!という気持ちがむくむくと湧いてきたのです。

わからないところは想像力で補うと行っても、その想像力にも限りがありますから、その作品が生まれた土地に実際行くというのは、その作品世界をもっと深く感じるために経験したいところ。

 

でも韓国に行くといっても私はご相伴に預かるというか付き添いというかおまけ。

どこまで韓国文学に触れられるのか。本屋さんに行ってパク・ミンギュの本と出会えるのだろうか。

 

そうして到着しました韓国は仁川空港。

現地ガイドさんと合流してホテルに向かう車中、ちょっとどきどきしながらガイドさんに「パク・ミンギュって作家さん知ってますか?」と聞いたところ、

「聞いたことない、誰?」と言われて撃沈。
どこに行ってもオタクなのか私は。
いやそんなことはないはず。

でも日本ではパク・ミンギュ、ベストセラー作家とか鮮烈なデビューとか言われているのに…。

日本ではできない韓国文学の話を韓国と方とならできるかもというささやかで淡い期待が…。

「韓国の作家のこと言ったのあなたが初めて」って言われた。まぁそうですよね。


その後「ハンガンなら読んだことある」って言ってくれたので、

「ハン・ガン読んだことあります!『ギリシア語の時間』を読みました」と答えたところ、「私の読んだことあるのはタイトルが『ハンガン』って本」って言われてしまい、またしてもすれ違い。

あとで知ったのだけどソウルには「漢江(ハンガン)」という川が流れている。

だからガイドさんが言っていた「ハンガン」はそっちかな。

漢江流域に住んでいる人たちの悲喜こもごもやその土地の歴史を描いた小説だっただろうか。

 

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ハン・ガン『ギリシア語の時間』

 

 

その後はあわよくば本屋さんに行きたいなーと思いつつ、ソルロンタン食べたりククス食べたりマンドゥ食べたり。食べてばかり。

だって本屋さん全然ないんだもの。

 

ひたすら韓国料理を食べているうちにあっというまに最終日。

いくらなんでも空港には本屋さんあるだろう!と思うものの、品数少なく出会えなかったらどうしようという心配も。

しかし出会えました。たくさんの韓国文学たちと。

 

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私が行ったのは仁川空港の本屋さんKBOOKS。

そこでパク・ミンギュの『亡き王女のためのパヴァーヌ』と、ハン・ガンの『ギリシア語の時間』を購入してきました。

韓国に行く直前に読んでいた『亡き王女のパヴァーヌ』があってほっくほく。


日本の本と作りが全然違くて、写真が載っていたり、ページの色が途中で変わっていたり。BGMとしてCDまでついている…!
表紙もキラキラしてたりザラザラしていたりと異なる質感で凝っている…!

パク・ミンギュの本は1冊しかなかったけど、ハン・ガンの本は何作品も何冊もありました。
人気なのでしょうか。


Google翻訳を駆使してなんの本なのか訳したのが楽しかった。

『風が吹く、行け』と『白い』というのがあったんですけど、それは日本未訳の作品でした。いつ訳されるのだろう、日本ではどんな装丁になるんだろうかと考えるのもまた楽しかった。

(しかし日本に帰国して数日、『白い』とGoogle翻訳が訳した作品は『すべての白いものたちへ』という題で来月発売されることが判明。楽しみ)


読んだことのあった『ギリシア語の時間』は訳せずとも一目見てわかりましたよ。
この作品も装幀が綺麗。雨に曇る窓に繊細な世界観がよく現れています。

 


韓国の本は日本の本と比べてお安い。
ソフトカバーだからかな。
ギリシア語の時間』は1000円くらい。
『亡き王女のためのパヴァーヌ』は分厚い本でCDもついてるのに1200円くらい。
この違いなんだろう。
日本の本もこれくらい安かったらいいのにな。

 

パク・ミンギュ『カステラ』の訳者解説にありましたが、韓国では文庫という形態はあまりないものだそう。それが単行本が安いことにも関係しているのでしょうか。

 

 

そういえば日本の小説の韓国版も置いてあったけど値段を見てくるの忘れました…。

辻村深月かがみの孤城小林泰三『アリス殺し』なんかが平積みにされていて、江國香織『犬とハモニカ住野よる『よるのばけもの』なんかが棚に面だしで置かれていました。

手に取ってみればよかった、いくらぐらいだったのだろうか。

日本で売ってる海外文学ぐらいするのかな。


買ったら本の底(?)のとこに日付のスタンプ押してくれたけど、これは何?韓国はそういう習慣があるのだろうか。このお店だけだろうか。

 

 


ハングル表記を見せながら思いっきり日本語で
「パク・ミンギュの本ありますか?」って聞いて本棚に案内してもらったりを繰り返しているうちに、無愛想な店員さんが笑ってくれるようになったのが嬉しかった。

ファン・ジョンウンの『誰でもない』とか『野蛮なアリスさん』も見てみたくて調べてみたけど、ハングル表記をスマホで探すもみつからず。
漢字表記で見せてみても通じず。
でも諦めきれなかったので更に調べたら『誰でもない』の韓国版の書影が出てきて、小走りで店員さんに近づいてしまったよね。
店員さんもそれに気づいて近づいてきてくれたのよ。
結局ファン・ジョンウンの本はなかったけど、なんかとても嬉しかったのです。

 

今度海外に行くことがあったらまた必ずその国の書店に行って本を買いたいと思いました。