自分なんかなんでもないことを知って、頬を叩かれて、「ちゃんと生きたい」と思っていた。
いろんな文化にかぶれて、流行に流されて、はっきり何がいいとか悪いとか言えない自分は、いやだった。何がしたいのかわからないのに、自分のことを特別だと思いたがってる自分も、いやだった。そんな自分は「ちゃんと生きていない」のだと思っていた。
何も悲しいことなんて書かれていないのに、読み始めてすぐに泣きそうになった。
憧れの存在に近付きたいけど、どうすればいいのかわからない。
一歩近付いたと思ったらそれ以上の距離で離れていく。
触れられた捕まえられたと思ったら、すぐに儚く消えていく。
自分を認められない、自分が何者なのかわからない空虚。
簡単には触れられないはずだった私の中の柔らかな部分にまっすぐに一瞬にして届く文章は小説よりもエッセイに多い。
あさのますみさんの『ヒヨコノアルキカタ』やこだまさんの『夫のちんぽが入らない』もそうだった。
みんな自分の暗い気持ちや苦しい気持ちをごまかさず、きちんと向き合ってきた人の文章だった。
どうしようもなく楽しくて嬉しくて幸せな気持ちを書いてくれていて、それが手に取るようにわかるよりも、
どうしようもなく苦しくて切なくて辛い気持ちを書いてくれていて、それが手に取るようにわかる時の方が言葉が奥の奥まで、深くまで届く。
そんな気がするし、そちらの言葉の方が支えになってくれる。
またそんな支えになってくれるエッセイと出会えて嬉しかった。
雨宮まみさんの本もっと読もう。