本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

みずみずむずむず町屋良平

巨大な後悔とか、自己嫌悪、死んでしまいたい自己否定のさなかでも、ぼくは人生がおもしろかった。こんなの、神秘いがいのなんなのだろう?

 
表紙を見た時からなんとなくの予感はあったけど、本を開いたらきらっきらした青春が流れてきた。
あまりにもきらっきらしててみずみずしいもんだから、こっぱずかしくもなったけど、根底には何故だかドライがあるからむずむずしつつも読みすすめる。

そうすると今度は主人公がどんどんメンヘラ浮き草こじらせ男子になっていく。
それでもどこかみずみずしい。

以前このブログでも、ツッコミを入れながら本を読めるようになりたいと言いましたが、この本は自然とツッコミが内から湧き出てきました。
「いやそれはどうだろう?!」とか、「やめたほうがいいって!」とか。
そうしてるうちに彼のメソメソ具合が痛快になってきて、そして爽やかに物語を終えることができる。

簡単に言うと恋も仕事もうまくいかない男子のお話なんだけど、
読んでて主人公にツッコミを入れたり、ひいたり、呆れたり。
でも最後には好きになって応援したくなる、そんなお話でした。

 


町屋さんの作品を読んだのは3作目だけど、これは好きな作家さんの仲間入りしそう。

ゴロウデラックスの町屋さんも素敵だったなぁ。
人の瞳の奥までじっと見るようなあの澄んだ目。
目の前にしたらたぶんおそろしさを感じてしまうだろけど、遠くから見てるぶんには素敵。

 

 

 

ぼくはきっとやさしい

ぼくはきっとやさしい