下北沢のB&Bで行われた三宅香帆さんとチェコ好き(和田真里奈)さんのトークイベントに行ってきました。
三宅さんのことはこのブログでもちょこちょこ言及しているし、すっかりファンなのですが、今回イベントに参加するのは初めて。(実は前にやっていた他のイベントも申し込んではいたのですが、体調不良で2回も参加できず今回やっと…)
三宅さんがツイートしていたチェコ好きさんの『寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか』もすごく気になって、すぐにポチり、これもブログに書いたけど、すごくよかったので、2人の対談を楽しみにしていました。
bookbookpassepartout.hatenablog.com
お二人の本好きが伝わってくるトークはどれも楽しかったのだけれど、今回特に印象深く残り、色々と考えさせられたのは、本に救われるとはどういうタイミングでどのように救われるのだろうかということ。
今回はそのことについて書いてみようと思います。
イベントの冒頭でチェコ好きさんが三宅香帆さんの新刊『副作用あります!? 人生おたすけ処方本』について、「失恋した人にはペンギンの本をすすめている」と触れていました。
そこから自分が辛い時にどんな本を読むか、示唆に富む話が。
三宅さんもチェコ好きさんも自分が何か問題に直面して、辛い思いをしている時に、その問題を扱う本を読むのではなく(例えば失恋した時に失恋の小説を読むのではなく)、その時自分が興味のある本を読んでいるという感じがして、現実逃避的な役割を求めているのかなぁと思いました。
たしかに、本当に辛い時にその問題と直面するような内容の本を読む精神力や体力はなかなかないので、それよりか、辛いことは解決しないけれども、その問題とは全然関係ないところにある本を読みたい。
その気持ちはすごくわかる。
私が本によって救われるのはそうした現実逃避の役割を果たしてくれるからというのもあるけれど、そうした問題の存在感が徐々に薄まっていって、でもそれは意識していないだけで、奥底にはまだどっしりと存在していて、ふとした瞬間に顔を出してしまいそう…くらいになってやっと、ふと出会った言葉に救われる、ということが多い。
本による救いは時差があるのだ。
私があの時苦しい思いをしていたのはこういうことだったんだ、そんなとこに原因があったんだ、こんな言葉をかけて欲しかったな、などとその問題に直面していた頃の自分、いまも私のどこかに確かに存在している自分が救われる。そんな風にして。
オードリーの若林さんが作家さんをゲストに招いてトークする番組『ご本、出しときますね』でも西加奈子さんが言っていた。「本は長いスパンで救ってくれる」と。
本当に辛い時、その最中にいるときは音楽やバラエティ番組などの方が即効性がある。(チェコ好きさんもしんどい時に『ダウントンアビー』を一気見して救われたと言っていたような…)本は長い時間をかけてじっくりと力になってくれるものだと思う。
長いスパンで過去の自分が救われるというパターンではなくて、未来の自分が救われるということだってある。今読んでいる本が、いつか未来の自分の悩みに寄り添ってくれるかもしれない。
本は悩みに対する即効性はないかもしれない。でも本は過去も未来もずっと私に伴走してくれているとても心強い存在だ。

寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか 女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド
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