本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

哲学と自己啓発本と漫画と筋トレと。

「哲学」って聞くとどんな印象を受けるでしょうか。

なんだかよくわからないことをよくわからない言葉でこねくり回しているイメージ?それともちょっと真面目で深い話をするだけで「哲学だねー」と茶化されるようなイメージ?

どちらにせよあまりいいイメージではない哲学、あまり日常生活でふれる機会役立つ機会のない哲学ですが、漫画や自己啓発本と同じことを言っていたりするのです。

 

読んでいてそれを感じたのが小林昌平さんの『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』です。

 

 

目次

 

 

「困難は分割せよ」

 

この本は、そのタイトル通り、人が生きている上で一度は通るような悩みに対しての答えを哲学者たちの言葉から引き出してくれている。

 

私が「これわたしがやっているやつ!」と今の私と繋がりを感じて嬉しくなったのがデカルトアリストテレスの考えの中で、将来の目標や計画について不安を感じる人に役立つもの。

 

小林さんは「やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない」という悩みに対して、デカルトの「困難は分割せよ」という考えをひいて、次のアドバイスをします。

 

壮大な夢を描くことは志が高くて、すばらしいことのようですが、大口をたたいただけに終わってしまう可能性もあります。しかし、本気で取り組める小さなゴールに刻んでいったら、夢は夢でなくなります。

一つ一つは大きくはないけれど、確実な結果が待っている、成果の手ごたえのある作業ある作業になります。そうしたら、人生が楽しくなる予感がたしかなものとして得られるのです。夢のような手に負えないサイズ感を、このサイズなら身の丈で取り組めると思えるところまで小さくするのが、デカルト的アプローチです。

 

将来叶えたい夢や目標、達成したい計画を1日でできる小さな小さな目標に分割して、ひとつひとつ達成して一歩一歩着実に夢に近づいていくこと。

それが夢や目標があっても、それが漠然としていたり大きすぎて何から手をつけていいのかわからない人に有効な手段。

とりあえず小さなことでも何かを始めてみれば次にやるべきこともでてくるし、どんなに小さなことでもできるようになれば、さらにできることも増えてくる。そうすることで目標に向かって推進力が増えていく、そうするとやらなきゃと思ってやっていたこともなんだか楽しくなってくる。

 

そんなにうまくいくかな?と思うでしょうが、今のわたしがその状態です。

毎日やろうと義務感強目で始めたことがだんだん推進力が高まって、だんだん楽しくなってきて、目標に向かっての努力が続いています。

今まで全然続かなかったのに。

 

PDCAは高速で回せ」

 

年末からなんとなく自分の中で漂ってくる「新しい年が始まる!」という高揚感の中図書館を歩いていたら、図書館側もわたしのような人間を見越していたのか、米山彩香さんの『やりたいことを全部やってみる』というタイトルの本が面だしで置いてあって思わず借りてしまいました。

こういう本ってだいたいモチベーションが上がって、上がったんだけども、上がっただけで特に何もしないというオチなんですが、この本に書かれていたことは続いています。

それが、先のデカルトのアドバイスにも通じる「PDCA(Plan計画 Do実行 Check評価 Action改善)を高速で回す、1日でできるくらいの計画を積み重ねる」というもの。

デカルトの「困難は分割せよ」を米山さん流にいうと「PDCAを高速で回せ」。

 

 

わたしが年末年始の高揚感の中で何を始めたかというと筋トレです。

「体力をつけたい、睡眠時間を減らしたい」という長年の目標があって、もともと筋トレや体操はしていたんですけど、なぜか続けられず。

でも米山さんの本を読んでから、「毎日できるものすごく軽い筋トレでいいからやっていこう」と思えて、毎日続けられています。

 

筋肉がついているかどうか怪しい軽めの筋トレでも続けていれば、「筋トレを続けているわたし」という実績が得られ、筋肉がつくかはどうでも良くなってきて、「筋トレを続けているわたし」という実績が得られればそれでよくなってくる。

そもそもの目標である「体力増強」はだんだん眼中になくなっていってますが、でもそれでいいようです。

 

 

 

「無欲にプロセスの作業を楽しむ」

 

『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』の小林さんもアリストテレスの言葉をひいてこう言っています。

「将来の目的や計画をいったん忘れ、今この瞬間のやりたいこと、やるべきことに熱中せよ」というのがアリストテレスです。

 

結果はどうあれ、無欲にプロセスの作業を楽しむ。手抜きをせずに一生懸命楽しみきるという人にこそ、高いー時には最高のーパフォーマンスが生まれ、自然と結果がついてくるのです。いい結果とはプロセスを楽しんだおつりのようなものです。

 

このアリストテレスの考えは、まさに「体力増強」という目的を忘れ、「筋トレ」が楽しくなっているわたしの状況です。

でも確かに壮大で達成できるかどうかわからない目標を見て、気が挫けそうになるよりも、小さな手段を楽しんでいる方が目標に近づけるのかもしれません。

 

大きな目標(=困難)は分割し、日々取り組める小さな目標にして、それの達成を楽しむ。小さな目標に集中する。大きな目標はいったん忘れる。

 

この目標達成法はアリストテレスデカルトの頃からあることからわかるように、決して新しい斬新な考え方ではありません。

わたしも最近になってできるようになったけれど、このやり方に初めて触れたのは、高校生の頃でした。

 

 

 

「足元から洗濯していくといいね」

 

わたしがデカルトの「困難は分割せよ」という考えに初めて触れたのは高屋奈月さんの漫画『フルーツバスケット』だったと思います。

将来のことで悩む高校生の主人公に同級生の親戚が言う言葉にそれがありました。

 

今君の周りにたくさんの洗濯物があって、一枚ずつ手で洗わなくてはならない。

こんな時は足元から洗濯していくといいね。

先ばかり見てたら足元の洗濯物に足が絡まって転んじゃうから。

 

このセリフには「困難を分割せよ」も、「PDCAを高速で回せ」も含まれているように思えるし、「プロセスの作業も楽しむ」も付け足せるように思います。

 

 

 

おわりに

 

本当に大切なことや真理は、哲学や自己啓発や漫画など媒体に関係なく、繰り返し書かれるものですが、わたしにとって、本当に大切なことや本当に役立つことは、それを初めて聞いた時にすぐには実行せず、何回も聞いているうちに「ほんとにそうなのかなぁ、よく聞くからそうなんだろうなぁ」と思っているうちに、いつのまにか実行していて、身についているもの。

 

長い時間をかけて実感と共にしか身につかないもの。

そんなきがします。

 

 

その悩み、哲学者がすでに答えを出しています

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