読書日記 クッキー缶とすっぴん
もくじ
秋物アウター干しまくり
天気が良かったので秋物アウターやストールをたくさん干した。
カビ臭かったものがホカホカのお日様の匂いになっていく幸福感が好き。
午前中に家事を済ませて昨日に引き続き『彼女の名前は』を読む。
でもやっぱり読むのが辛くて休み休みしか読めない。ちょっと読んで枕も布団も干したり、ちょっと読んでお茶を淹れなおしたりアウターの匂いをかいでみたり、ちょっと読んでぼぉーと日向ぼっこしてみたり。
ちまちま読みつつどうにか読み終えた。
『彼女の名前は』
女性ならではの生きづらさと簡単に言ってしまえるけれど、一口に言ってもそこには多種多様な困難がある。
職場でのセクハラや結婚式での嫁姑問題や理解のない父親母親。
様々なバリエーションがあり、抱える困難はそれぞれで、それぞれの嘆きや怒り悔しさもしっかり抱きつつ、それでも彼女たちは未来を悲観していないのが印象的だった。
なかでも印象的だったのは彼女たちが、もうこんな目に合うのは自分たちの代で最後にしたい、という未来に向けての視点だった。
利他主義の美談は鼻じらんでしまうことが多い。他者の為という面目を盾にして、利己から目を反らし、利己から逃げているだけのように思えてしまうから。
だけど、彼女たちの利他、のちの世代のために、第二第三の自分を生み出さないためにという気持ちのど真ん中にはしっかりと自分の苦しみや困難がある。
彼女たちはそれらをしっかりと自分のものとして抱え、辛酸を嘗め尽くされた上での利他だった。
ど真ん中に自分がある利他だった。
だから鼻じらむことは決してなかった。
クッキー缶とすっぴん
今日は宅配便が届く日だったので、配達指定時間前に読み終えられて良かった。
私はピンポンの音が苦手で、配達指定時間中は「いつなるか?いつなるか?」とちょっとドキドキしてるので全く集中して本が読めない。
だからその時間前に読み終えることができて良かった。
本の抜き書きをしたり、感想を読書ノートに書きつつ待つ。
『彼女の名前は』について書き終わったらちょうど読書ノートが一冊終わった。
6月末から書き始めた『フライデー・ブラック』からなので、約4ヶ月で一冊。
もうすぐノート終わりそうだったから新しいノートは買っておいたけど、でも来年からはスケジュール管理も日記も読書ノートも一緒くたにしたバレットジャーナルを始めたいので、あと2ヶ月でこのノート終わりにしたい…。倍の量を読むか倍の量書かなくてはならん計算…。
bookbookpassepartout.hatenablog.com
そうこうしているうちにピンポンが鳴る。
相変わらず威勢がいい。鳴るとわかっていてもびっくりする。
届いたのはアトリエうかいのクッキー缶。
Twitterで見かけて缶の可愛さ7割クッキー食べたさ3割で注文していたのである。
うきうき開けようとしたところで鏡の自分と目があってその残念さにびっくり。
忘れてたけど今日はずっと家にいるからすっぴんで頭もボサボサだった…。
いつも自分がそんな状態の時は配達の人と目も合わせられず、もそもそお礼言うだけなのに今日はバッチリ目合わせちゃったな恥ずかしい…、などとちょっと落ち込む。
だからといって宅配便が届くから化粧しようだなんて思わないし、配達の人だって私みたいな人見慣れてるだろうし、すっぴんだろうが目を合わせてお礼いった方がいい!ちゃんと目を合わせた自分えらい!すっぴんで何がいかんのだー!と気を取り直してクッキー缶の入った箱を開ける。
どえらい可愛さ。
次に読む本と一緒に記念撮影。
缶の色みと本の装丁がなんとなく一緒。
可愛い。
可愛いだけじゃない。慌てて紅茶を淹れて一つ食べて見たところ、えらい美味しい。
紅茶と合うー。紅茶が好きでいろんな茶葉持ってて今まで紅茶に何か合わせて食べるという発想なかったけど、すごい合うーー。
噛むとサクッとホロホロっととろけてバターの風味たっぷりのクッキーとアールグレイの柑橘風味が合う。
紅茶とクッキーの無限ループを知ってしまった…。
ヨーグルト味のクッキーも意外だけどこれもすごい美味しい。
クッキー缶のお取り寄せいいな。色々頼みたくなっちゃうな。
『暗闇にレンズ』
どうにか紅茶とクッキーの無限ループを断ち切り、読み始めたのは新芥川賞作家高山羽根子さんの新作『暗闇にレンズ』。
高山さんの作品は『オブジェクタム』から追いかけてるんだけど、そのちょっと不思議な作風が好き。
現実の話っぽいんだけど、現実からちょっと浮いていて、だからと言ってSFとまでは行かないような、ちょうどいい浮遊感が絶妙。
今回の作品は、多分現代のパートのSide Aと19世紀末から20世紀初頭のパートのSide Bに分かれていて、それぞれの物語が交互に語られていく。
こういう構成好き。二つの話の共通点はなんなのか、どこらへんから交差していくのか、それともちょうどいい平行線のまま終わっていくのか。ワクワクする。
三分の一ぐらいまで読み進めても、不思議感が全然なくって、歴史物寄りの話なのかなぁと思っていたら、半分くらいになってSF風味がどんどん加わっていき、これから読み進めるのが楽しみ。
高山さんの作品でここまでSF要素強めなのは久しぶりなんじゃないかなぁ。