本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

3.『十角館の殺人』

この「読書感想文100本ノック」ではちゃんとあらすじも書こうと思っているんだけど、果たしてこの小説にあらすじ紹介は必要なんでしょうか。

一応私なりに説明すると、半年前に凄惨な殺人事件が起こった角島に立つ十角館に大学のミステリ研究会のメンバーが訪れ、小説書いたり釣りしたりしようとしていたら殺人事件が起きてしまう、というお話である。

 

私はこの小説を7年前に読んだ。このミステリーが有名なのは、これが「どんでん返し」系でそのどんでん返しが、ある一行で鮮やかに決まるからである。

よく「衝撃の一行」とか、「あの一行言えなかったら読んだことにならない」なんていわれている。その一行を私は全く覚えてなかった。読んだのに。ちゃんと読んだのに。

 

この小説が名作だと紹介されるたび、「衝撃の一行」と言われるたび、全然覚えてないことが後ろ目たく、もぞもぞしていて今度ドラマが地上波放送するということもあり読み返した。

 

読み始めてすぐに犯人は思い出したけど、その一行はそこに辿り着くまで全然思い出せなかった。犯人思い出したら芋づる式に思い出しても良さそうなのに、「なんで覚えてないんだよ!」とか、他にも覚えていたことはあったけど瑣末なもので、「なんでそんなことを覚えていたんだ?!」とか、自分の記憶システムのよくわからなさが面白かった。

 

この『十角館の殺人』は綾辻行人のデビュー作であり、館シリーズのはじまりの作品。この館シリーズも『暗黒館の殺人』まで、今はブロックしてしまった友達(!)に借りて読んだんだけど、『時計館の殺人』と『暗黒館の殺人』のことしか覚えていない。それもまた瑣末なことしか覚えていない。

ミステリーを読んで犯人とかトリックとかキーとなる一行を全然覚えていないというのは、幸運なんだろうか損してるんだろうか。

最低でも2回は楽しめると考えたら幸運なんだろうけど、読んだ人と「あれね!すごかったよね!」と話せないのは損をしている気もする。

 

十角館の殺人』以外にも名作ミステリーと言われてて、その内容を全然覚えていない『九マイルは遠すぎる』も読み返したい。なんか名作ミステリーを背伸びして読んでた時期があるんですよね。