君との関係はどうしてここまで続いてきたのだろう。完全に連絡が途絶え、それこそ見知らぬ他人のように、お互いの人生から完全に消えてしまうチャンスも何度かあったはずなのに。相手への穏やかな記憶だけを分かち合う選択もできたはずなのに。私はどうして後先考えずに君からの連絡を受け取り、近況を尋ね、君の人生との距離をさらに縮めるという思いを断ち切れなかったのだろう。
今度は。今度こそは。
8つの短編が入ってる短編集なんだけど、「これ以上一緒にいたら完全に嫌いになってしまうから別れよう」みたいな瞬間がいっぱいあってつらい。
付き合っているわけではなく、友人だったり、出会ったばかりの人との交流もある。
でもどれも、人を好きで居続けることの困難さや、好きな人をどんどん嫌いになっていってしまう時の断ち切れないもどかしさ苦しさがある。
この人のこういうところは好きだけど、こういう一面には引いてしまうとか。
この人のことは好きなんだけど、この人の知り合いやその知り合いと一緒にいる時のこの人は嫌いだ、とか。
本当は良い人なのに今この人が置かれている状況が大変で、それのせいで嫌な人になっていて、でもその状況から助けてあげることもできないし、そんな風なこの人を見ているのもつらい、とか。
人と人とが付き合う時、その人と一対一の関係でいられるわけではなく、周りの人や状況が関わってくるものだし、一対一で付き合うにしたって、ある一点、ある瞬間だけで付き合えるわけじゃない。
今のこの瞬間のこの人は好きだけど、過去のある部分はそうじゃなくて、その部分が今後現れないとも限らない。
会っている時は好きじゃないけど、会ってない時は好きだとか、あるいはその逆だとか。
人も状況も感情も機嫌も調子も日々変わっていくものだから、一人の人のことをずっと好きでいるためには、日々の微調整が必要で、自分の形を変えたり相手の形を変えてもらう必要がある。
見て見ぬフリをしたり、許したり許させたり、絶え間ないメンテナンスが必要で、それでも好きで居続けるのが無理だと感じたら諦めるしかない。でもたとえ一時期でも好きだったなら、諦めることは簡単じゃない。
今のこの瞬間は嫌いだけど、過去のある部分では嫌いじゃなくて、その良い部分が今後現れないとも限らない。
好きな人を好きで居続けることも、嫌いになり始めた好きな人を完全に嫌いになる前に断ち切ることも、難しい。苦しい。
