フィンランドに行く前にムーミンシリーズを読もう気に入ったのがあったら原書をアカデミア書店で買おう、と思っていたのだけどどれを買うのか決まったかもしれない。それくらい『ムーミン谷の仲間たち』が良かった。
『ムーミン谷の仲間たち』は、シリーズ唯一の短編集。
9つの短編どれもよかったけど、「目に見えない子」という短編は読み終えて泣きそうになった。まさかムーミンを読んでここまで込み上げるとは。
(以下、ネタバレを含みます)
「この人はおこることもできないんだわ」と、ちびのミイはいいました。
それから、ニンニのそばへよっていくと、こわい顔をしていったのです。
「それがあんたのわるいとこよ。たたかうってことをおぼえないうちは、あんたには自分の顔はもてません」
「はい、そのとおりですわ」
こういってニンニは、おどおどとあとじさりしました。
おばさんから嫌味を言われ続けて青ざめ、しまいには誰からも見えない存在になってしまった女の子、ニンニというキャラクターのことは知っていて、絶対にいい話じゃん!と、ニンニ登場回を楽しみにしていたのだけど、想像以上だった。
私は常々、怒りという感情は大事だと思っており、怒りを抑えた方が大人だとか知的だとかいう風潮、怒っている人を感情的と冷笑したり揶揄する人に怒りを覚えており、だからこのお話のラストが大好きだった。
ニンニは自分のために怒ったのではなく、人のために怒って、それで目に見えるようになる。自分の顔を取り戻す。
そこがちょっと気にはなる。でも自分のために怒るってことは案外難しいというのもわかる。
それでも人のためだけに怒っているだけでは、まだ自分の顔を持つまでには至らないだろう。
ニンニがいつか自分のために怒れる日が来てほしいと思うけど、怒らなきゃいけないほどのなにかは起きて欲しくないとも思う。みんなに大事にされてしあわせでいて欲しい。
この『ムーミン谷の仲間たち』は短編集で、タイトル通りいろんなキャラクターが出てくる。
ムーミンシリーズを読み進め『ムーミン谷の仲間たち』まで来て、そういえば『こじらせ北欧日記』で、フィンランド人は陰キャでオタクということを書いていたな!と思い出した。
ムーミンシリーズには切手コレクターやボタンコレクターがいたり、人見知りだったり、久しぶりにお客さんが来て浮ついて失敗してしまったり、みんなでいるより1人でいるのが好きなキャラクター等々、オタクで陰キャなキャラクターがいっぱいだ。みんななんだか愛おしい。
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