本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記『哲学者たちの天球』

『哲学者たちの天球』という、アリストテレス哲学がどのように広まっていったのか、どのように解釈されていたかということが書かれている本を読んだ。 ちょっと正直後半は難しすぎて返却期限までに読み終えることはできず、図書館に返してしまったのだけど、…

読書日記 「卒業の終わり」

私たちはずっとあそこにいた。生まれてからずっと同じ場所で暮らしていた私たちには、何かが過去になるという感覚はまだわからなかった。戻れない場所が、戻れない時があるという感覚がわからなかった。 あの頃の私たちに、思い出と言うべきものはまだひとつ…

佐藤厚志『荒地の家族』 〜想像力は人を救うのか〜

元は鬱蒼とした松林であった野を新しくつるりとした道路が切り裂いている。荒涼として寒々しく、無機質な海辺を雨が塗り込めて想像力を殺す。 『荒地の家族』の主人公坂井祐治は宮城県の亘理で生れ育ち、地元で一人植木業を営んでいる。震災時、自身も含め家…