本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記『水中の哲学者たち』

昔見かけた目つきの悪い彼も、身軽に自身の考えを刷新していくサルトルも、ただ謙虚であるとか、自分の意見にこだわりがないとかではなく、自分の立場よりも真理をケアし、異なる考えを引き受けて、考えを発展していたのである。だからこそ、弁証法の場では…

『プリズム』ソン・ウォンピョン

たいていの場合、始まりは違っても過程は似ていて、結果はいつも同じものだから。ジェインはそう軽く結論を出して、しばらく 日常の中に浸って過ごした。その時までは、人生に違う種類の波が立つなんて全く想像もできなかった。 『アーモンド』で2020年本屋…

読書日記『韓国文学の中心にあるもの』

斎藤真理子さんの『韓国文学の中心にあるもの』を読み始めた。 斎藤さんは韓国文学ブームの火付け役となった『82年生まれキム・ジヨン』を訳された翻訳家さんだ。その後も次々に素晴らしい作品を訳し、たくさんの小説を日本に紹介してくれて、個人的には日…

『差別はたいてい悪意のない人がする』 キム・ジヘ

ほとんどの善良な市民にとって、だれかを差別したり、差別に加担したりすることは、いかなるかたちであれ、道徳的に許されないことである。差別が存在しないという思い込みは、もしかしたら、自分が差別などする人ではないことを望む、切実な願望のあらわれ…

読書日記『蓮と刀』

答えは簡単━━フロイト自身、それを危険だと思わなかったから。危険だと思う必要がなかったから。彼には、それに関して疚しい所が一つもなかったから。平気でそれを口に出来たから。彼は母親と性行をしたいと思ったことなど、幼児期から始めて、一度もなかっ…

『物語のカギ 「読む」が10倍楽しくなる38のヒント』 渡辺祐真/スケザネ

世界に対する様々な言葉の束、つまりは物語をたくさん持っている人は、それだけ世界を豊かに眺めることができる。 物語を味わうことの効用は、世界を見ることの彩度を上げられることにもあるのです。 本を読んでまたは物語に触れて、「面白い!」「好き!」…