本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記 「蜘蛛の糸」

わたしが初めてハマった文豪は芥川龍之介で、確か小中学生の頃だった。 近所の本屋さんに通ってちょこちょこ新潮文庫の芥川龍之介作品を買い集めた思い出がある。 結構な数を揃えたはずなんだけど、一度本棚の整理をした時にもう興味薄れてしまったし読み返…

『パッチワーク・プラネット』 アン・タンラー

ひょっとして、善良な人というのは、単にほかの人より運がいい人間というだけのことじゃないのか?それは言い訳にならないのだろうか? 特別なことは何も起こらないような、日常を淡々と書いているような小説を無性に読みたくなる時がある。 私にとって西加…

『才女の運命 有名な男たちの陰で』 インデ・シュテファン

『才女の運命』という本を読んだ。 自身も音楽や科学の才能を持っているのに、同業者と結婚したことによって、徐々にその陰に埋もれていってしまう女性たちの評伝。 シューマンの妻、クララ・ヴィーク=シューマン。アインシュタインの妻、ミレヴァ・マリチ…

「明滅」 彩瀬まる

今村はなんだか拍子抜けした気分だった。こんな、あまりに個人的でどうしようもない感情を吐露して、自分は一体どんな華々しい返答を妻に期待していたのだろう。子供じみていると思いながらも、胸の一部が皺まみれになってしぼんでいくのを止められない。 こ…