本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

人の世はどちらにしたって住みにくい。

去年「文豪の作品を読まなきゃ」と思い立ち、一番興味のあった夏目漱石の作品を読破しました。 と言っても新潮文庫で出てるのだけ…。 そして読破といってもほんとに読んだだけという感じで、作品の凄さはわかるけど、どこがどう凄いのか言葉にできないものば…

『スタッキング可能』 松田青子

ミステリが好きだった。はじめは何もないように見えたとしても、実際何も秘密がない、含みがない人間などこの世に一人もいないのだと、学生生活で、日常生活で、社会生活で、人を表面でしか判断しない、自分たちも表面しかないように見える人々に苦しんでい…

戦果アギヤー、生命の泉。

先の直木賞受賞作真藤順丈の『宝島』を読みました。 その後しばらくしてナンシー・ヒューストンの『時のかさなり』を読んで、たまたまだけどどちらも戦争を書いた作品で、どちらも素晴らしい作品だったので、ここに書いておきたいと思います。 宝島 時のかさ…

『あとかた』 千早茜

でもさ、何か遺さなきゃ駄目なのかな。そうじゃなきゃ意味がない?そんなわけない。想いのままに生きて、それで死んでいってもいいんじゃないか。あなたの演奏聴いてそう思ったんだよ 車窓を眺めるのが好きだ。次々移り変わっていく景色を眺めていると自分の…

読書日記 天の原 ふりさけ見れば 春日なる

私が百人一首に初めて触れたのは中学校での授業でした。 その音の耳心地の良さ、実感としてはわかってはいないものの恋の歌の切なさ大人っぽさ、そしてそのカルタというゲーム性にはまり、その後開かれた百人一首大会のために百首全部暗記。母に読み札を渡し…

アジア文学への誘い@チェッコリ 第1回『歩道橋の魔術師』

呉明益『歩道橋の魔術師』を読み終えました。3度目の読了。 やっぱり何度読んでも良い。 海外文学の作品を何度も読みかえすことは少ない。 日本の作品は読みかえすものもたくさんあるけれど、海外のそれは今思い浮かんだものだとポール・オースターの『ムー…