大東亜戦争での日本軍の組織的な失敗を分析した『失敗の本質』をわかりやすくビジネスにも援用できるように解説した『「超」入門 失敗の本質』を読んだ。
この本の序章で作家の堺屋太一が東日本大震災を「第三の敗戦」と表現したとある。
第一の敗戦は幕末、第二の敗戦は太平洋戦争(大東亜戦争)だそう。
『失敗の本質』が書かれたのが1984年で東日本大震災前だし、『「超」入門 失敗の本質』が書かれたのが2012年で今のコロナ禍前だ。
この本が書かれて約10年日本は今、第四の敗戦の最中にある。
コロナ禍前東日本大震災前に日本的な思考法や日本人特有の組織論の脆弱性や幼さ器の小ささが指摘されていたのに、なぜ今第四の敗戦といってもいい状況になっているのだろう…と無力感を覚えた。
何も変わっていないのだ、『失敗の本質』で書かれているダメ組織ダメリーダー達と今の日本のお偉方が。
ここ数年で日本がどんどん後進国になっている感じ、取り残されている感じがしていたけど、ここまでなんにも変わってないんだったら、敗戦を経験した時のままで時が止まっているなら、そりゃそうなるわな…と悲しい納得をした。
著者が東日本大震災をきっかけに
水面下で抱えてきた多くの社会問題、経済の課題、国民生活や政治組織の問題が一気に噴出していると、私たち日本人は感じているのでないでしょうか。
と言っているけど、これもまさにそうで、今まさに感じていることで、この本が全く古びてないことが虚しい。
もともとこの本を読もうと思ったのは、三宅香帆さんがオリンピック開会式の不甲斐なさをかいたこの記事を読んでだった。
コロナだけでなく、オリンピック開催にあたって、開会式関連でも唖然とすることがっかりさせられることばかりだった。
この本に書かれている日本の組織とリーダーのダメなところを読んでいるとどんどんこのリーダー像が森喜朗として像を結んでいく…。
開会式にまつわるごたごたには
日本軍の上層部の特徴
・現場を押さえつける「権威主義」
・現場の専門家の意見を聞かない「傲慢さ」
が当てはまりそうだし、
チャンスを潰す人の三つの特徴
①自分が信じたいことを補強してくれる事実だけを見る
②他人の能力を信じず、理解する姿勢がない
③階級の上下を超えて、他者の視点を活用することを知らない
も当てはまりそう…。
改めていうけど、この本約10年前に書かれた大東亜戦争の失敗を分析した本だ。
なぜこうも変わらない…。
上層部が徹底的に前線や下層にいる人の声を聞かないから変革が起きないんだろうか。
何十年も変わらなくて何回も同じことを繰り返して敗戦といってもいい経験を何度もしてそれでもより良い歴史を作っていけないのはなんでなんだろう。
上がダメダメなだけじゃなくて、下も「このままじゃ本当にやばい」っていう危機感が足りないからもある気はする。
今回この本を読んでただ「やばい」と思ってるだけでなく、何がどうやばいのかどういう思考パターンやどういう仕組みの組織がやばいのか勉強できてよかった。