本読みの芋づる

芋づる式読書日記。

『寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか』 チェコ好き

私たちはそろそろ「愛される女」に憧れるのを卒業しなくてはいけなくて、これからは「きちんと意見を言える女」を目指していくべきなのだろう。

もちろん「愛される女」なんかよりも、ずっとハードルが高い。

日頃から趣味や仕事の話をして、互いに信頼を重ねて、言うべきことと言うときは伝え方も考える。そして何より、自分自身が「この人の考えは聞くに値する」と思ってもらえる魅力的な人物でなければならない。

 

三宅香帆さんのツイートを見て手に取った本。

副題は「女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド」。

 

「ありのままの私を受け入れて欲しいって結局どういうこと?」とか「事実婚という選択肢もあるのに結婚したいのはなんで?っていうか結婚ってなに?」とか「どんなふうに人生を終えることができたら自分は満足なんだろう?」「なぜ毎朝毎朝時間をかけてメイクしてるんだろ?なんのため?誰のため?ほんとに必要?」などなど。

女性が毎日毎瞬生きているだけで、沸いてくる疑問不安などのモヤモヤモヤモヤしたもの、それを紐解くための一助となるような本を紹介してくれる本。

 


小説を読んで、ここのシーンの主人公の心情の現れ方はーとか、この作品にはこういう文学的価値があってーとか、そういう話ももちろん面白いんだけど、チェコ好きさんのように自分の生き方や人生の指針にするような、これからの自分のためのお薬や杖にするような読み方も好き。
なんというか本はもっともっと利己的に読んでいいのだ。自分の好きなように咀嚼して飲み込んで自分の言葉に思想にしていけばいい。
でもその読み方にもなかなかの能力がいるような気もする。
自分の人生と真正面から向き合って、真摯に苦しんだり傷付いたり怒ったりしていないと、本を自分のものにできないのかもしれない、などと思ったりもした。

 

そんなふうに本を読めたら、誰にでもひらかれているどこにでもある本が自分だけの本になる。

そんな本の集積は自分が生きてきた証にもなる。

そんなふうに本を読んでいきたい。