『パワー』 ナオミ・オルダーマン
それはともかく、じつに楽しみです!おっしゃっていた「男性の支配する世界」の物語はきっと面白いんだろうと期待しています。きっといまの世界よりずっと穏やかで、思いやりがあって ー こんなことを書くのはどうかと思いますが ー ずっとセクシーな世界だろうな。
ある日を境に女性は手から強力な電撃を放てるようになった。
それを契機に男女の力関係が反転し、女性が男性を支配するようになる。
女性が権力を牛耳るようになり、男性の自由を奪うようになる。男性は女性から暴行を受けレイプされ虐待を受ける。
オバマ元大統領毎年発表するブックリストにもあげられ、エマ・ワトソンが主催するフェミニストクラブの推薦図書にも挙げられたディストピア小説。
男女の力が反転し女性が男性を支配するようになっても、
弱者は強者になり強者は弱者になっても、
弱者が虐げられ強者に怯える構図は何も変わらない。
力が反転するだけで残酷に見える。
この小説で男性がされていることは、全部今まで女性がされてきたことなのに。
既存の構図、残酷さに慣れてしまっていたことに気付かされた。
平等でお互い自由にいられる社会になるまでに、痛みに慣れずにいることは難しい。
不当だと、憤りを感じ続けることは難しい。
発売前から話題になっていて、読むのを楽しみにしていたけど、その分厚さと内容にちゃんと読めるか怯んでいた。
でもこんなことをいっていいのかわからないけど、面白かった。
海外文学読みなれていない人でも読めるんじゃないかな、と思うほどでした。
人心を巧みに操る宗教主導者、特別強い電波を操るギャングの娘、政界進出を狙う女性市長、女性の反乱を取材する男性ジャーナリスト。
それぞれの視点が交互に書かれるので、それぞれの思惑たくらみ置かれている環境が交差しあい多角的に語られるので、ぐいぐい読まされてしまいます。