恐れるな、という言葉をどう伝えればいいのか分からず、わたしはしかめっ面のまま歩いていた。それから、不安や怖れといったものが、もしかしたら、今のわたしや君の人生を支えているのではないかということも。だからJ、わたしは君が順調に回復すればいいとは思わない。怖れがすべて消え去ったら、それは本当の君の人生じゃないかもしれないのだから。
「笑顔笑顔。笑ってたら良い事あるよ」
という言葉の効力はどこからどこまでなのだろう。
こんなにも苦しくてこんなにもつらいのだから、それが無駄なもの、意味のないものだと思いたくない。
だけど、そうして苦しみを抱きしめるよりも、
「こんな苦しみ、なんの意味もない」と、風船を手離すように放てたら楽になることもある。
「あなたの苦しみには意味がある」
という言葉の効力はどこからどこまでなのだろう。

風船を買った (韓国文学ショートショート きむふなセレクション)
- 作者: チョギョナン,呉永雅
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