桜木紫乃さんの『緋の河』を読んだ。
桜木紫乃さんの作品を読むのは初めてだったので、好きになれるかどうかどきどきだったけど、これがもう。良かった。
カルーセル麻紀さんをモデルにした主人公が「あたしはあたしになる」と、自分が納得する自分自身を目指して行く物語なのだけれど、
主人公に自分を重ねて共感するとか、励まされるというのではなく、
まるでヒーローアニメを見ている感じがした。
主人公がそれくらいかっこいい。
傷や痛みを引き受けながらも、前に進む様がかっこいいし、本質を見抜く力があって、悲しい現実や本質が見えてもヤケにならず悲観もせず、粛々と自分の人生を進めて行く様がかっこいい。
『緋の河』の主人公がかっこよくて、この物語が好きになったけど、まだ桜木紫乃さんの本はこれしか読んでないし、他の作品はどんな感じなのか知りたくて、図書館で他の作品も借りてみようと探していたら、同じ「さ行」の棚にあったさくらももこさんの『ももこの21世紀日記』がずらっと並んでるのが目に入って思わず手にとって読んだ。
お、面白い。
この面白さはなんだ。
わたしはテレビをリアルタイムで観る派じゃなくて、いつも録画しておいたものをその時の気分によって選んで観る。
ドラマとかバラエティとかアニメ、クラシック音楽の番組、美術番組を毎週を録画しているんだけど、バラエティ番組の量が少ない…。
バラエティ番組を観たい気分の時に観るものがないのだ。
なんか観たくてもだいたい録画したものは観ちゃってる、っていうパターンが多いので、何か好みの番組を発掘して、レパートリー(?)を増やさなくてはと思うのだけど…。
バラエティ番組を観たい気分ってどんな気分かって言ったら、何も考えずに何かを観たい時、ただただ面白い気分になりたい時。
さくらももこさんのエッセイはまるでバラエティ番組みたいだと思った。
何も考えなくていい。ただただ面白い。でも読む前と読んだ後で何も変わらないなんてことはなくて、どこかに入っていた力は抜けていて、ふわっと気持ちが軽くなっている。
最近ずっと、感情が揺すぶられる小説や詩集とか、いろいろな問題に気づかされて思わず考えさせられる学術書とかばかり読んでいたので、こういう本は新鮮だった。
新鮮というか、こういう感覚は忘れていたのかもしれない。子供の頃はもっと難しく考えずに、ただただ楽しいだけの本いっぱい読んでいた。
いつから難しい本や、考えされる本ばかり読むようになったのだろう。
難しいことも、考えることも好きだけど、肩肘はらずに読んだそばから内容を忘れるような本をただただ楽しく読むことを改めて教えてもらって、読書の幅を広がったようだった。
『ももこの21世紀日記』は6冊もあって、だけど本当に面白くて、その力の抜け具合にハマってしまって、その日のうちに2冊読んでしまった。
1日経った今でも、まだ読みたくて続きが早く読みたくてうずうずしている。『ももこの21世紀日記』を読破しても、さくらももこさんのエッセイはたくさんあるから読破するつもりで読んで行きたい。
この先の楽しみがバッチリ保証されているようでワクワクしている。
あ、桜木紫乃さんの本もちゃんと借りましたよ。何年か前に新井賞を受賞した『砂上』を。こちらも楽しみ。