「遠く」というのは、ゆくことはできても、もどることのできないものだ。おとなのきみは、そのことを知っている。おとなのきみは、子どものきみにもう二どともどれないほど、遠くまできてしまったからだ。
子どものきみは、ある日ふと、もう誰からも「遠くへいってはいけないよ」と言われなくなったことに気づく。そのときだったんだ。そのとき、きみはもう、一人の子どもじゃなくて、一人のおとなになってたんだ。
図書館に行った時、毎回詩集を読んで帰ってくることにした。
まずは棚にある長田弘を制覇しようと思って、行くたびに一冊取り出して読んでいる。
今日読んだのは『深呼吸の必要』。
前半は子どもが大人になる瞬間の散文詩。
色々な瞬間が書かれているのを読んで、私が大人になった時はいつだろう、と思ったけど、そもそもまだ大人じゃない気がしてならなかった。
でもまだ子どもだというつもりもない。
長田さんは子どもから大人になる瞬間はきちんと存在していて、子どもと大人が混在しているようなことはないと言っていたけど、それって本当だろうか。
やっぱり私の中には子どもも大人も混在しているとしか感じられない。
というか、子どもとか大人とか関係なく、ただただ生まれた時から連綿と続いてきた私でしかないような。
もうそれでいいような。そんな気がしている。